【 永田先生プロフィール 】

細胞生物学者。JT生命誌研究館館長、京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授、日本細胞生物学会元会長。歌人として宮中歌会始詠進歌選者、朝日歌壇選者もつとめる。紫綬褒章受章、ハンス・ノイラート科学賞受賞。『タンパク質の一生』『近代秀歌』『歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年―』『知の体力』など著書多数。

【 講演内容 】

世の中、ことあるごとに理系文系と分けたがるのはなぜだろう。「私は文系だから」という言葉の裏には、「理系のことはわからないし、それで結構です」という諦めと居直りとがあるのではないだろうか。しかし、改めて言うまでもなく、自分が生きていくためには、どちらの要素も必須なのである。たとえ専門とはしなくとも、文系にも理系にもどちらにもおもしいことはいっぱいあり、そもそも文系理系などという分類なく、おもしろいことにとことん興味を持つということが、「人生の風通し」をよくしてくれるはずである。私のこれまでの人生を振り返りながら、言葉の力について考えてみたい。