イベント
2026年10月30日(金)「第12回滋慶科学セミナー」を開催しました。
滋慶科学セミナーは、生命科学の分野で近年急速に注目されている技術や研究成果について、科学をはじめて学ぶ方にもわかりやすく解説する連続セミナーシリーズです。
【シリーズ3】「生命の仕組みを可視化する」の第4回となる今回は、大阪大学蛋白質研究所 教授 高木 淳一 先生をお招きし、「あなたのタンパク質はどんな形?〜原子の大きさで知る立体構造が語るタンパク質機能、病気、薬の関係〜」というテーマでご講演いただきました。

高木先生は、エンゲルスの「生命とはタンパク質の存在様式である」という言葉を紹介し、私たちの体を一つの社会にたとえて、タンパク質の役割をお話しくださいました。体をつくる物質や、設計図にあたる遺伝情報があり、その中で実際に働く「人」にあたるのがタンパク質です。私たちが立ったり話したりできるのも、数多くのタンパク質がそれぞれの役割を担い、協力して働いているからだと教えていただきました。
では、タンパク質はどのようにしてそれぞれの働きを担うのでしょうか。遺伝情報をもとにつくられたアミノ酸の鎖は、折りたたまれて立体構造をとります。その「形」が「働き」にどの関わるのかを、光を感じ取るタンパク質「オプシン」を例に、わかりやすく解説していただきました。
さらに、タンパク質の立体構造を原子レベルで調べる方法として、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡を用いた解析をご紹介いただきました。新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を例に、変異によってウイルスが私たちの細胞に結合する仕組みがどのように変わるのかを、立体構造から読み解く研究についてもお話しいただきました。
最後には、変異したウイルスにも対応できる治療薬や、アルツハイマーをターゲットとした脳に届きにくい抗体医薬を届けるための研究をご紹介いただきました。タンパク質の形を詳しく調べることが、病気の仕組みを理解し、新しい薬を生み出すことにつながると実感できる講演でした。
質疑応答の時間には、タンパク質についてのさらなる疑問や、高木先生の取り組みの展望などについて、参加者から質問が寄せられました。

参加者の皆様のアンケートでも、
「とてもわかりやすく、楽しんで講義を聞けました。」
「タンパク質が病気を治したり、薬を創ることに役立つことを改めて理解できました。」
といった感想をお寄せいただきました。
ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
次回の滋慶科学セミナーの開催日は、決定次第このホームページで告知いたします。